前庭神経炎(ぜんていしんけいえん)とは
前庭神経炎は、耳鼻咽喉科領域の他のめまいに比べて、めまいの持続時間が長いことが特徴です。通常、耳から起こるめまいは1日以内~数日で治まることが多いですが、前庭神経炎では1週間以上、1日中回転性めまい、嘔気が持続します。ひどい回転性めまいが治まっても、軽いめまい感が数カ月続き、なかなかすっきりと治りません。
この際、聞こえの障害や耳鳴りはありません。
前庭神経炎では、平衡感覚に関係する前庭神経が炎症を起こして、めまい症状が起こります。
前庭神経炎になると下記のような症状が起こります。
(1)ある日突然、強烈なめまいに襲われる。耳の聞こえは以前と変わりなく、耳鳴りや耳のつまった感じはしない。
(2)病院に入院して1日中点滴をしても、数日間天井が回り続ける。
(3)回転する感じは治まっても、体のフラフラした感じは数週間とれず、体を動かした瞬間はフワッとした感じが残る。
(4)めまいの1週間前、軽い風邪を引いていたことがある。
上記のような症状がある場合は、前庭神経炎の可能性が高いです。
早急に耳鼻咽喉科の受診をお勧めいたします。
前庭神経炎の原因・メカニズム
原因としてウイルス感染が考えられていますが、実際はまだよくわかっていません。
前庭神経炎の診断・治療
この病気を診断するためには、カロリックテストという耳に水を入れてめまいの様子を観察する検査が必要です。正常な耳では、水を入れると軽いめまい感があるのですが、前庭神経炎ではめまい感はありません。(半規管麻痺)。
この病気の治療には、精神安定剤、抗めまい剤や吐き気止め、ステロイドが必要になります。