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小児滲出性中耳炎の症状と治療

小児滲出性中耳炎とは

滲出性中耳炎とは、鼓膜の内側に水が溜まって、聞こえが悪くなる病気です。
通常耳の痛みは起こらないため、初期には気がつかれないことがほとんどです。
滲出性中耳炎が進行して、鼓膜の内側に貯まる水の量が多くなると、聞こえが悪くなるため、呼びかけても返事をしなくなったり、大きな音に反応しなくなります。
ここではじめて「もしかして・・・聞こえてないの?」と気がつくことが典型的なパターンです。その他「なんとなく耳が痛い」と表現することもあります。小児は「耳の詰まった感じ=耳閉塞感」を耳が痛いと表現します。

就学時前には90%の小児が、一度は滲出性中耳炎を起こすと言われており、小児の難聴において最も多い病気です。
特に3〜5歳の小児がこの病気になりやすく、この年齢で滲出性中耳炎が続くと言葉の発達に影響がでることがあります。
小学校入学以降は徐々に減少して、中耳炎は起こりにくくなります。
一方で小学校に入学しても滲出性中耳炎があるときは、大人になっても中耳炎が続いてしまうことが多く、積極的な治療(=鼓膜換気チューブ留置術)が必要です。滲出性中耳炎が長期間続くと、鼓膜が耳小骨に張り付いて離れなくなる癒着性中耳炎(ゆちゃくせいちゅうじえん)や耳の骨が壊され難聴が進行する真珠腫性中耳炎(しんじゅしゅせいちゅうじえん)といった、より重度な病気になることがあります。

お子様が、「テレビの音を大きくする」「大きな声でおしゃべりする」「呼んでも返事をしない、気づかない」といった様子がありましたら、難聴を疑ってみてください。
また、「よく耳を触る」といったお子様の行動は「耳に異常がある」というサインです。このような仕草がみられるようでしたら、早めに耳鼻咽喉科を受診してください。

小児滲出性中耳炎のメカニズム・原因

鼻の奥(上咽頭)には、耳管と呼ばれる耳と鼻をつなぐ管があります。この耳管の働きが低下すると、耳での気圧の調整ができなくなり、中耳に滲出液が溜まってしまいます。
例えれば、エレベーターや飛行機に乗った時、耳が詰まったからつばを飲んでも、耳が抜けない感じです。
このようにして、鼓膜の内側に水が溜まることで、音の伝わりが悪くなり、難聴や耳閉感といった症状を引き起こします。

小児滲出性中耳炎には2つのパターンがあります

① 風邪の後に起こる一過性の小児滲出性中耳炎
風邪を引いた際に、耳管機能が低下して、症状を引き起こします。
但し症状は一時的なものが多く、風邪が治ると中耳炎の症状も治まります。

② 長期間続く滲出性中耳炎
アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、アデノイドがある小児では、耳管機能が低下しているため、滲出性中耳炎が長期間持続します。

小児滲出性中耳炎の診断

(1) 耳の診察
鼓膜の状態を観察します。

左鼓膜で褐色に見える部分が鼓膜の奥に貯まっている水です。
空気の部分は白く見えます。

(2)純音聴力検査
耳の聞こえの程度を調べます。

(3)ティンパノメトリー検査
鼓膜の動きを調べます。水が貯まっていると鼓膜の動きが悪くなります。

(4)中耳レントゲン・CT検査
耳の骨の成長度合い(側頭骨の含気化)を推定します。成長が悪いときには、将来中耳炎が治りにくい事が予想されるために、積極的な治療(=鼓膜換気チューブ留置術)が必要になります。耳の骨(側頭骨)はほぼ10歳頃で発育を終了するので、それまでに滲出性中耳炎を完治させることが必要です。

(5)はな・のどの診察
滲出性中耳炎の原因となるアデノイド、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎について、診察します。アデノイドがあると滲出性中耳炎を起こしやすくなります。アデノイドは3-4歳頃に最も大きくなり、その後は小さくなっていきます。

小児滲出性中耳炎の診断

(1)保存的治療
飲み薬を使用しながら、頻回に通院して、鼻水を吸ったり、ネブライザー(鼻や口から薬を吸入する治療)を行います。アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎の治療も併せて行います。
鼻から鼓膜の裏側に空気を送って、貯まった水を押し出してやる耳管通気という治療も有効です。風邪を引くと滲出性中耳炎が急性中耳炎に変わることがあり、耳に痛みが生じた時には、短期間で抗生物質を内服します。においのある膿性鼻汁が持続するときには、マクロライドという抗生物質を3ヶ月程度内服します(=マクロライド療法)。

(2)鼓膜チューブによる治療
3ヶ月間保存的治療を行っても中耳炎が改善しないときには、鼓膜換気チューブ留置術が必要になることがあります。
これは鼓膜を数mm切開して、鼓膜チューブを留置する治療法で、これを行うことにより、貯まっていた滲出液が鼻に抜けやすくなります。
手術と言われるとびっくりするかもしれませんが、負担の小さい手術ですのでご安心ください。
鼓膜チューブによる治療は詳しくはこちらから
チューブを留置するとき、怖がって動いてしまうお子さんでは、2泊3日程度、病院に入院して、全身麻酔が必要になります。
局所麻酔後、じっとしていることができれば、外来手術も可能です。
経験的に外来手術は、小学4年生以上ならば可能です。

鼓膜換気チューブは1〜2年程度留置しておきます。
その間は1ヶ月に1回程度、トラブルが起きていないか耳鼻科を受診することが必要です。
最も多いトラブルは耳漏(耳だれ)です。
風邪を引いたときの膿性耳漏やチューブの刺激で、チューブの周囲に不良肉芽が起こりサラサラとした耳漏が起こることがあります。鼓膜チューブの周りに耳垢(じこう=みみあか)がついてチューブが抜けてしまうこともあります。

小児滲出性中耳炎の生活上の注意点は?

・2~4週間に1回程度、耳鼻咽喉科を受診し、耳・鼻・のどを診察して何か異常がないかを確認してください。通常、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎など鼻の病気が起こると、滲出性中耳炎は悪くなります。

・鼓膜換気チューブを留置しているときでも、過度に行動を制限する必要はありません。入浴も今までと同じで大丈夫です。また海水浴やスイミングスクールについてはお勧めしません。どうしてもやりたいときには医師にご相談ください。その際は耳栓の着用をお勧めいたします。

蒲田のてらお耳鼻咽喉科

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