痛みの少ない上咽頭擦過療法(EAT・Bスポット療法)とは
上咽頭擦過療法(じょういんとうさっかりょうほう)とは、上咽頭(鼻咽腔)に塩化亜鉛を直接塗布することで、炎症を改善する治療法です。
「ノドのイガイガ感」「なかなかノドの痛みが治まらない」「ノドの痛みを繰り返す」などの症状では、上咽頭に炎症を起こしている可能性が高いです。
炎症部分に直接薬を塗る治療法であるため、通常痛みを伴う治療になります。当院では痛みを少しでも少なくするようしっかり麻酔を行ってから、内視鏡を用いて丁寧に施術を行います。
上咽頭擦過療法は50〜60年前から広く行われている治療ですが、最近ではコロナ後遺症に対しても有効であることがわかってきました。
上咽頭擦過療法(EAT・Bスポット療法)が有効な疾患、症状
「喉のイガイガ感」「なかなか喉の痛みが治まらない」「喉の痛みを繰り返す」といった症状がある方は、上咽頭に炎症を起こしている可能性が高いです。
上咽頭の炎症に対して、直接炎症を抑える薬を塗布することで、症状が改善します。
当院では、薬を1週間使用しても、「ノドのイガイガ感」や「ノドの痛み」などの症状が改善しない患者様には、上咽頭擦過療法をお勧めしております。
・新型コロナウイルスの後遺症
新型コロナウイルスの後遺症である嗅覚障害、味覚障害、倦怠感、咳などの症状に対して、上咽頭擦過療法が有効であることがわかってきました。
※感染予防のため、新型コロナウイルスに感染された方は隔離解除2週間後から施術が可能になります。
・病巣感染症
病巣感染症とは、上咽頭や扁桃の慢性炎症が原因で、皮膚や腎臓、関節など離れた臓器に障害が起こることです。
上咽頭擦過療法を行い、その慢性炎症にアプローチすることで、掌蹠膿疱症やアトピー性皮膚炎、喘息、めまい、自律神経失調症、膠原病、IgA腎症などに効果があるという報告があります。
しかし、上咽頭擦過療法がなぜ効果があるのかについては、まだ確固たる根拠が示されていません。
上咽頭擦過療法(EAT・Bスポット療法)の具体的な手順
まずは鼻の中に麻酔をしみこませたガーゼを5分間入れて、鼻から喉にかけてしっかりと麻酔を行います。
その後、内視鏡で上咽頭を観察しながら、鼻や口から塩化亜鉛のついた綿棒を入れて、薬を上咽頭に塗布していきます。
炎症を起こしている部分に薬を塗るので、数時間程度、軽い出血や痛みがあります。炎症が強い程、これらの症状は強くなります。
治療を重ねていくと、出血は徐々に減少し、処置に伴う痛みも軽くなり、それと同時に今まであった慢性上咽頭炎の症状も改善します。
治療の時間は約1分程度です。
上咽頭擦過療法は1回の治療ですぐに効果が出るものではありません。
少なくとも週に1回程度、10回の施術を試してみることをお勧めいたします。