たかがみみあか、されどみみあか。耳垢をうまく取ることって本当に難しいです。
Q.1子供の耳垢って取った方がいいの?
A.1あまり家庭では触らなくていいです。気になるときには耳の穴の周囲を細いベビー綿棒でそっと拭いてあげてください。小児の外耳道は狭くて、専用の道具がないとうまく取れません。嫌がって動くので耳を傷つけてしまうこともあり、耳鼻科医でも難渋することがしばしばあります。耳垢が貯まりやすいお子さんは、2週間から1ヶ月に1回程度耳鼻科で取ってもらってください。
Q.2耳かきをやりすぎると何がいけないの?
A.2耳垢を掃除しているつもりで奥に押し込んでしまい薬を使って柔らかくしなければ取れなくなることがあります。
Q.3耳かきの道具は何を使えばいいの?
A.3竹や金属、プラスチックの耳かきはお勧めいたしません。先端に細菌が付着しやすく、硬いために外耳道に傷がついてしまい、外耳炎の原因となります。風呂上がりに耳が湿っている状態の時、使い捨ての綿棒で耳の手前のあたりをそっと清掃してください。左右を同じ道具で清掃すると外耳炎になります。
耳かきをやりすぎると、耳が痒くなったり痛くなったりすることがあります。とくに竹や金属、プラスチックの耳かきは先端が硬いため外耳道に傷がつきやすく細菌が付着して外耳湿疹や外耳炎の原因となります。
外耳道炎
外耳湿疹
生まれつき耳たぶに袋があり、その袋の中に分泌物が貯まる病気です。袋には穴があり、分泌物が細菌に感染すると、穴から膿が出てきます。感染を起こさないときには治療不要ですが、感染を繰り返し頻回に耳たぶが腫れるときには手術が必要になります。
中耳は耳管(じかん)で鼻の奥とつながっています。普段、耳管は閉じていますが、つばを軟み込む時に無意識に耳管が開き,空気が鼻から耳に入ることで、いわゆる耳が抜けた状態になり、まわりと同じ気圧となって耳が詰まることなく生活が出来る訳です。耳管開放症とはこの耳管が開きっぱなしになった状態で、耳管が開いているのに耳閉感(耳がボーっとしたり、つまる感じ)を認めたり、自声強聴(自分の声が頭の中で響く)自分の呼吸音が響くなどの症状が起こります。時にめまいや難聴が起こることもあります。特徴として、耳管開放症は若い女性と初老の男性に多く、疲れや睡眠不足が続いたり、急に体重が減少したとき、妊娠中に起こりやすくなると言われています。耳管開放症の治療は、直ちに治すことは困難な場合が多いのですが、漢方薬の加味帰脾湯(かみきひとう)が症状の改善に有効と言われています。
中耳は耳管(じかん)で鼻の奥とつながっています。普段、耳管は閉じていますが、つばを軟み込む時に無意識に耳管が開き,空気が鼻から耳に入ることで、いわゆる耳が抜けた状態になり、まわりと同じ気圧となって耳が詰まることなく生活が出来る訳です。
耳管狭窄症とは、アレルギー鼻炎や副鼻腔炎、アデノイド、上咽頭腫瘍などにより、この耳管周囲が腫れて開きにくくなった状態で、耳管が開きにくいために耳閉感(耳がボーっとしたり、つまる感じ)を認めたり、自声強聴(自分の声が頭の中で響く)などの症状が起こります。診断は、難聴の有無を調べる聴力検査や、鼓膜の可動性を確認するティンパノメトリーを行います。鼻のつきあたりにアレルギー鼻炎や副鼻腔炎、アデノイド、上咽頭腫瘍がないかファイバー検査を行います。
治療法としては、鼻の炎症(アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎)の治療を行っていくと共に、症状が長期間続くときには鼻から耳に空気を送る耳管通気を定期的に行っていきます。
慢性的に耳管狭窄が続くと、中耳の粘膜から液がしみ出し、鼓膜の内側に滲出液が溜まる滲出性中耳炎になる場合があり、そうなると程度によっては鼓膜切開や鼓膜チューブ留置を行うことも検討しなければいけません。
滲出性中耳炎に変わっていないか、腫瘍はないかも含め、注意深く様子を見ながら治療を行っていくことが重要です。
急性中耳炎は小児において極めて頻度の高い疾患です。今回よくいただく質問をQ&Aでまとめてみました。
Q1.中耳炎ってどんな病気?
A1.耳の構造は手前から外耳、中耳、内耳でできています。中耳が炎症を起こして耳に痛みがでてくる病気が急性中耳炎です。
Q2.子どもが中耳炎になりやすいのはどうして?
A2.耳管が太く短く、水平なために鼻や喉の影響を受けやすいからです。
Q3.急性中耳炎ってどんな病気?
A3.中耳炎は風邪を引いて3-4日してから中耳が炎症を起こして耳が痛くなる病気です。ここで注意するべきポイントは中耳炎は風邪の初期には起こらないことです。
Q4.急性中耳炎の細菌やウイルスはどこから入ってくるの?
A4.鼻の奥にある中耳へとつながる「耳管」と呼ばれる管から細菌が入って中耳に感染することで起こります
Q5.なぜ風邪の引き始めから中耳炎が起こるまでに3-4日かかるの?
A5.菌が耳管を上って中耳に到着するまでそのくらいの時間がかかるからです。そのため中耳炎は風邪が治りかけた頃に痛みが出てくることがよくあります。
Q6.急性中耳炎の症状は?
A6.耳痛・発熱・耳漏(みみだれ)です。
しかし、耳の痛みを訴えられない乳児や、痛みが強くない場合には、徐々に炎症が進んで耳漏がでてから気づくこともあります。乳児が耳を触るような動作を繰り返すときには急性中耳炎を起こしていないか注意が必要です。
Q7.急性中耳炎の治療は?
A7.細菌を殺したり、その増殖を抑えるために抗生物質の内服や点耳を行います。発熱や耳痛には解熱・鎮痛剤が処方されます。鼓膜が膿でふくらんでいる場合には、鼓膜に数mmの穴を開けて膿をだす「鼓膜切開」という処置を行います。開けた穴は通常数日で閉鎖します。鼻水が多いときは、通院回数を増やし鼻のおそうじやネブライザーを頻回に行ったり、耳漏が出ているときはまめに耳の清掃をした方が早く治ります。
Q8.急性中耳炎で痛みが治まりました。薬の内服や通院を勝手に中止してもいい?
A8.急性中耳炎は痛みが治まっても、完治していない場合があり、そのまま放置すると、痛みが再発したり、聞こえが悪くなる滲出性中耳炎に移行することがあります。勝手に薬の使用や通院を止めないでください。しっかり完治させましょう。
1.はじめに
最近うちの子聞こえが悪くなっているのではと感じたことはありませんか?
例えば「テレビの音を大きくする」「呼んでも返事をしない」「大きな音がしても反応しない」などの症状があれば、聞こえが落ちているかもしれません。
滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)とは、鼓膜の内側に水が貯まる病気で、聞こえが悪い(=難聴)、耳が詰まった感じ(=耳閉塞感)などの症状を引き起こす病気です。通常耳の痛み(=耳痛)はありません。好発年齢は3-5歳で、この時期に滲出性中耳炎が続くと言葉の発達に影響がでることがあります。小学校入学以降は徐々に治ってきて、中耳炎は起こりにくくなってきます。就学時前には90%の小児が一度は滲出性中耳炎を起こすと言われており、小児難聴の最も多い原因となっています。言い方を変えると小学校に入学しても滲出性中耳炎があるときは、将来も中耳炎が続いてしまう可能性があり注意が必要です。放置すると鼓膜が奥に引っ込んで戻らなくなる癒着性中耳炎(ゆちゃくせいちゅうじえん)や耳の周りの骨を壊して難聴が進んでしまう真珠腫性中耳炎(しんじゅしゅせいちゅうじえん)になることもあり、真珠腫性中耳炎になると入院して手術が必要になります。
2.滲出性中耳炎の診断は?
(1) 耳を診る 鼓膜の裏に水が貯まっているのがわかります。
(2)純音聴力検査 難聴の程度を調べます。
(3)ティンパノメトリー検査 鼓膜の動きを調べます。水が貯まっていると鼓膜の動きが悪くなります。
(4)中耳レントゲン・CT検査
耳の骨の成長度合い(側頭骨の含気化)を推定します。成長が悪いときには、将来中耳炎が治りにくい事が予想されるために積極的な治療が必要になります。耳の骨はほぼ10歳頃で発育を終了するので、それまでに滲出性中耳炎を完治させることが必要になります。
(5)はな・のどのチェック
滲出性中耳炎の原因となるアデノイド、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎があるかについても調べていきます。アデノイドがあると滲出性中耳炎を起こしやすくなります。アデノイドは3-4歳頃に最も大きくなり、その後は小さくなっていきます。
(6)全身のチェック
ダウン症や口蓋裂のお子さんの中耳炎は治りにくい事が多いです。
3.滲出性中耳炎の治療は?
(1)保存的治療
かかりつけの耳鼻科医院に定期的に通院して、鼻水を吸ったり、お薬を飲んだり、ネブライザーを行います。もしアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎があるときにはそれらに対する治療も併せて行います。鼻から鼓膜の裏側に空気を送って貯まった水を押し出してやる耳管通気という治療もあります。風邪を引いたときなどには滲出性中耳炎が急性中耳炎に変わってしまうことがあり、耳に痛みが起こったときには、短期間抗生物質を内服します。膿性のくさい鼻汁が持続するときには、マクロライドという抗生物質を3ヶ月程度内服するやり方もあります。
(2)鼓膜換気チューブ
3ヶ月間保存的治療を行っても中耳炎が改善しないときには、鼓膜換気チューブ留置術が必要になることがあります。これは鼓膜を数mm切開して、鼓膜チューブを留置する方法で、これを行うことにより、貯まっていた滲出液が鼻に抜けやすくなります。手術と言われるとびっくりしてしまうかもしれませんが、さほど負担の大きい手術ではありません。クリニックで局所麻酔での手術も可能です。ただ怖がって動いてしまうお子さんでは2泊3日程度入院して、全身麻酔が必要になります。鼓膜換気チューブは1~2年程度留置しておきます。その間は1~2ヶ月に1回程度、トラブルが起きていないか耳鼻科を受診することが必要です。最も多いトラブルは耳漏(耳だれ)です。風邪を引いたときの膿性耳漏やチューブの刺激で、鼓膜に開けた穴の周りに不良肉芽が起こりサラサラとした耳漏が起こることがあります。鼓膜チューブの周りに耳垢(みみあか)がついてチューブが抜けてしまうこともあります。
4.滲出性中耳炎:生活上の注意点は?
(1)1~2週間に1回程度、耳鼻咽喉科を受診し、耳・鼻・のどを診察して何か異常がないかを確認してもらってください。通常、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎など鼻の病気が起こると、滲出性中耳炎は悪くなります。
(2)鼓膜換気チューブを留置しているときでも、過度に行動を制限する必要はありません。入浴も今までと同じで大丈夫ですが、風呂の水に潜るようなことは避けてください。また海水浴やスイミングスクールについてはお勧めしません。どうしてもやりたいときは主治医に相談してください。その際は耳栓の着用をお勧めいたします。
鼓膜に常に穴が開いているために、難聴や耳漏が起こりやすくなります。耳漏を繰り返しているうちに難聴は徐々に進行していきます。治療には鼓膜形成術、鼓室形成術などの手術で鼓膜の穴を修復することが必要になります。
高度の滲出性中耳炎が未治療のまま長期間持続すると鼓膜と中耳の骨が癒着して離れなくなり、難聴が起こってきます。軽度であれば耳管通気や鼓膜切開で癒着が改善するか確認するのですが、それらで改善が見られないときには、鼓膜換気チューブ留置術が必要です。鼓膜換気チューブを留置することで癒着の進行を予防することが可能です。難聴が進行したときなは、鼓室形成術が行われることもあります。
中耳に白色の真珠腫という塊ができて、それが徐々に大きくなり、耳の骨(=耳小骨:つち骨、きぬた骨、あぶみ骨)を溶かしていくことで、徐々に難聴が進行したり、耳漏が起こる病気です。進行するとめまい、顔面神経麻痺、髄膜炎、脳膿瘍を起こすこともあります。生まれつき中耳に真珠腫が存在する先天性真珠腫と幼少時に中耳炎を繰り返して真珠腫が発生した後天性真珠腫があり、後天性真珠腫が9割以上を占めます。中耳CT検査で耳小骨が溶けていることで診断されます。治療には鼓室形成術が必要になります。
耳小骨のひとつであるあぶみ骨の動きが悪くなり内耳に音が伝わらなくなるため伝音難聴または混合難聴が進行していく病気です。通常両耳に起こります。難聴が進行したときにはあぶみ骨手術を行います。
今回よくいただく質問をQ&Aでまとめてみました。
Q.1突発性難聴ってどんな病気?
A.1原因がわからず、突然おこる感音難聴を突発性難聴といいます。
聴力の低下のほかに、耳鳴やメマイ、吐き気を伴うこともあります。文字通りに突然におこり、難聴の度合は様々です。
原因については、以下の4つが推測されていますが、はっきりした結論はでていません。
① 風邪やオタフクなどのウィルスの感染
② 内耳の血管の痙攣などによって血液の流れが悪くなる。
③ 気圧の変化などによって、内耳の一部が傷つく。
④ 全身の病気と関係して内耳の代謝障害がおこる。
現在は、突発性難聴というひとつの病名で呼ばれていますが、将来、研究がすすむとそれぞれの原因によって区別され、別の病気として扱われるようになるのではないかと言われています。原因が不明ですので、根本的で確実な治療法は確立されていません。
発症から治療開始までの時間が非常に重要で、予後を左右します。
発症後2週間以内に治療を始めることが望ましく、2週間以内であれば、改善が期待できますが、1ヶ月以上過ぎてしまうと、著しい改善は望めないとされています。
Q.2突発性難聴の診断は?
A.2
① 聴力検査
治療の効果をみて、薬を変更したり、治療方針を決定する為に、治療当初は、来院の度に、検査が必要になります。
② 血液検査、尿検査
糖尿病や血液の病気など全身の病気による難聴なのか判断する為に行います。
③ メマイの検査
難聴に伴い、メマイがある場合に行います。
④ 脳MRI
聴神経腫瘍という脳腫瘍が原因で突然難聴になることがあります。脳MRIで脳腫瘍がないか調べていきます。近隣の病院にお願いしています
Q.3突発性難聴の治療は?
A.3軽度の場合はまず内服薬で、中等度の時は内服薬に加えてステロイドの点滴で治療していきます。一般には副腎皮質ホルモン(ステロイド)や、循環改善剤(血液の巡りを良くする)、浸透圧利尿剤(内耳のむくみを軽くする)などの薬を1週間程度点滴または内服していただきます。難聴がうまく改善した方は、そのまま当院での治療を継続していただきますが、1~2週間しても改善がみられない時は連携病院にご紹介させていただきます。
Q.4急性低音障害型感音難聴とは?
A.4突発性難聴の中で、低音部だけ難聴になる病気です。この内、低い音だけが聴こえなくなった難聴を急性低音障害型感音難聴といい、比較的軽度のものが多く治りやすいのですが、繰り返す事があったり、女性に多いなどの特徴があります。自覚症状としては耳鳴が最も多く、その次に耳閉感、難聴となっています。約半数では、聴力が悪くなったという自覚がありません。その為に、耳管狭窄症と間違われやすい病気ですので、耳閉感がある場合には、聴力検査をする事が必要です。1~2週間以内に治療を始めれば、80%は改善されると言われています。しかし5~6%のかたでは早く治療しても治まらない例や一度治ってもまた難聴が再発することがあり、途中から蝸牛型メニエールと診断名が変更になることがあります。そのまま放置しておくと数年以内にめまいを起こすようになってメニエール病となります。治療としては、突発性難聴とほぼ同様ですが、メニエール病に準じて浸透圧利尿剤が有効と言われています
1.適切な診療科を受診しましょう
めまいの種類に応じて、どの診療を訪れたらよいのが重要です。
受診する診療科が適切でないと正しい診断に至りません。
(1)耳鼻咽喉科
目の前がグルグル回るめまい(回転性めまい)は、多くは耳が原因です。まず耳鼻咽喉科を受診してみてください。
(2)神経内科
グラグラ、フワフワ揺れるめまい(動揺性、浮動性のめまい)の場合は、脳神経の病気が心配ですので、神経内科を受診してください。脳神経領域からくるめまいは、突発的に起こる場合と、徐々に生じる慢性の場合とがあります。
(3)内科・循環器科
クラッとする立ちくらみのようなめまい(眼前暗黒感や失神発作を伴うめまい)は、脳血流の減少が疑われ、血圧と関係することがあります。内科、循環器科の先生に相談してください。
2.めまいを起こす代表的な病気を知りましょう
めまいそのものは決して怖いものではありませんが、めまいが怖いと思われる方がいらっしゃいます。その方の印象として「めまい」=「脳血管障害」「後遺症」といった図式が頭にあるからだと思います。その怖さはめまいを知らないことから来る不安です。めまい克服の第一歩は相手を知ることです。
耳鼻咽喉科領域のめまい
(1)メニエール病
内リンパの貯留・・・内耳を満たす内リンパが過剰になる(内リンパ水腫)と、内耳の働きが異常となり、めまいが起こります。
(2)良性発作性頭位めまい症
内耳の中の浮遊物・・・前庭にある耳石のかけらがはがれ、半規管内に入るとめまいが起こります。
(3)前庭神経炎
前庭神経の炎症・・・平衡感覚に関係する前庭神経が炎症を起こすとめまいが起こります。
神経内科領域のめまい
脳血管障害
脳卒中(脳出血、脳梗塞)、椎骨脳低動脈循環不全・・・小脳や脳幹に出血や梗塞が起こると、めまいが起こることがあります。
内科・循環器科領域、その他のめまい
(1)頸椎(首の骨)の病気
脊柱管狭窄症、後縦靭帯骨化症・・・頸椎の変形によって、体のバランスをとるために必要な情報が脳に伝わらないと、めまいが起こることがあります。
(2)血圧変化
起立性低血圧、高血圧、不整脈・・・血圧が急激に変動すると脳へ送られる血液量が不安定になり、めまいが起こることがあります。
(3)その他
ストレス、低血糖、貧血によってもめまいが起こることがあります。
特に未成年者のめまいは、低血圧と鉄欠乏性貧血のめまいが高頻度です。
1.典型的な経過
(1)数週間前から、数ヵ月に一度めまい発作がある。数日前もめまい発作があった。
(2)発作の前日頃より片耳の聞こえが悪くなり、耳のつまり感、耳鳴りもあった。
(3)翌朝、強烈な回転性めまいが起こってきて、何回も吐いてしまった。
慌てて救急車で病院へ行き、そのまま入院。
(4)点滴してもらい、めまいは数時間で収まったが、まだ難聴が残っている。
2.「メニエール病」の原因
内耳を満たす内リンパが過剰になる(内リンパ水腫)と、内耳の働きが異常となり、めまいを生じます。
《解説》
メニエール病は、回転性めまい・難聴・耳鳴りを繰り返す病気です。季節の変わりめ、梅雨、台風など気圧が変化しやすい時期に発作が起こりやすいです、診断上「繰り返すこと」が非常に重要で、初めて起こしためまいではメニエール病と診断するのは困難です。この病気の原因は、「内リンパ水腫」といわれています。一言で言うと、内耳がむくんでしまうのです。このむくみがひどくなるとめまい、難聴が起こってきます。メニエール病のひどいめまいについては心配はありません。数時間から長くても一日でほとんど治ります。むしろメニエール病の怖いところは、一度悪くなった聴力が必ずしも元に戻らないことです。めまい発作に伴って聞こえが悪くなり、階段状に聴力が低下していきます。
この病気の治療は、めまい発作のある時期とない時期で異なります。めまいがある時期は抗めまい剤や吐き気止めを用い、とにかくめまいを止めるようにしていきます。その後、聴力を戻すため、浸透圧利尿剤(尿を出す薬)やステロイド剤を使って、内耳のむくみを取ります。めまいが収まってからも、ある程度症状が落ち着くまではビタミン剤や陳謝賦活剤を内服する必要があります。一度起こってしまうと完治は難しい病気ですので、根気強く治療しなくてはなりません。
1.典型的な経過
(1)布団から起きようとした時、急に景色がグルグルと回りだし、同時に吐き気がおそってきた。
(2)じっとしいているとめまいは収まるが、また少しでも頭を動かすと回り出す。
2.「良性発作性頭位性めまい」の原因
内耳の中の浮遊物 前庭にある耳石のかけらがはがれ、半規管内に入るとめまいを生じる。
《解説》
良性発作性頭位めまい症は、耳から起こるめまいの中で、最も多い病気です。めまい患者さんの20~40%程度と言われています。
この病気は前庭内にある耳石が外れて半規管の中に入り込んで動き回るために起こる病気ですが、半規管から耳石が出てしまえば、めまいはピタッと収まります。その後はどこを調べても異常はありません。
この病気を診断するためには、とにかく早期に耳鼻咽喉科を受診して、頭や体の位置を変化させることで、目の動きに異常が起こるかを確認する(=眼振検査)ことが必要です。
この病気で陥りやすい間違いは、「安静にしていなくてはならない」と思いこんで、1日中寝ていることです。他の部分に病気がないときは、積極的に頭を動かした方がめまいは早く治ります。このとき多少めまい感や吐き気がありますが心配ありません。1~2分休んでから、また同じ動作をしてみてください。これを繰り返していくと、そのうちめまいが起こりにくくなってくるのがわかります。
最近では、理学療法(Lempert法やEpley法)が行われるようになってきています。頭を決まった方向に動かすことで、はがれた耳石を半規管から出そうとする方法です。めまいがなかなか治まらないときには「めまいのリハビリテーション」も有効です。
1.典型的な経過
(1)ある日突然、強烈なめまいに襲われた。耳の聞こえは以前と変わりなく、耳鳴りや耳のつまった感じもなかった。
(2)病院に入院して1日中点滴をしても、数日間天井が回り続けていた。
(3)回転する感じは収まっても、体のフラフラした感じは数週間とれず、体を動かした瞬間はフワッとした感じが残っている。
(4)めまいの1週間前、軽い風邪を引いていた。
2.「前庭神経炎」の原因
前庭神経炎の炎症
平衡感覚に関係する前庭神経が炎症を起こすと、めまいが生じる。
《解説》
前庭神経炎の特徴は、耳鼻咽喉科領域の他のめまいに比べてめまいの持続時間が長いことです。通常、耳から起こるめまいは1日以内に収まることが多いのですが、前庭神経炎では数日間にわたって1日中回転性めまい、嘔気が持続します。ひどい回転が収まっても軽いめまい感が数カ月続き、なかなかすっきりと治りません。この際、聞こえの障害や耳鳴りはありません。原因としてウイルス感染が考えられていますが、実際はまだよくわかっていません。
この病気を診断するためには、カロリックテストという耳に水を入れてめまいの様子を観察する検査が早期に必要です。正常な耳では、水を入れると軽いめまい感があるのですが、前庭神経炎ではめまい感はありません。(半規管麻痺)。
この病気の治療には、精神安定剤、抗めまい剤や吐き気止め、ステロイドが必要になります。
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